Yoshikawa Mae from India 吉川めいのほぼ月イチ インド発見記
[06月]金環日食
いよいよ6月、夏ももうすぐですね。
先月、日本では25年ぶり、本州では実に129年ぶりだった 、非常に珍しい「金環日食」が21日の新月の朝に起こりました。
ニュースでも大きな話題になりましたが、皆さんはこの金環日食を、外へ出てご覧になりましたか?


実は、私はこの特別な日に向けて、自分の中で少々迷いがありました。
というのも、前の日記でも少し触れたことがあるかもしれませんが、インド文化の認識としては、日食や月食は直接観たり、そのエネルギーを肌に浴びることはあまりいいものとして考えられていないのです。


日本や西洋の文化においては「珍しい天体ショー」といった認識が強く、目で見て楽しむというのが主流だと思います。
確かに、このような宇宙的な現象を実際に見られる機会は特別なので、私も気になってはいましたが、その反面、私はインドでも多くの時間を過ごしていて、向こうの考え方にも馴染みがあるので、安易に観覧気分にはなれませんでした。


「ジョティーサ」という、古典ヴェーダに基づく占星学が文化に根付いているインドでは、「食」は非常に強いエネルギー的な動きや節目を意味する時であり、妊婦さんや子どもは特に、直接そのエネルギーを浴びることを避けるよう昔から伝えられています。
「食」が起こる日に、学校はお休みになりますし、妊婦さんは特に、家の中においても「窓に近づかないように」とか「ベッドから出ないように」と言われるほどです。


インドでは、惑星のことを「graha(グラハ)」と言うのですが、このgrahaという言葉は、もともとサンスクリット語の由来で「to grasp=つかむ、捕らえる」という意味を持っています。それだけ、惑星たちの引力や重力、そして地球との関係性、またそれが人類をはじめとして水の性質をもつすべての生命体に及ぼす影響力は、昔から畏敬の念で捉えられているものなのです。
すべての生命を照らし、すべてに栄養を与える「陽」のエネルギーの象徴である太陽が、「陰」のエネルギーの象徴である月の裏に隠れ、一時的に日中の地球を暗くしてしまう「日食」に関しては、特に不吉だと考える人も少なくないようです。


ヨガの教えは、「ジョティーサ」占星学や「アーユルヴェーダ」医学と同じ源にあるので、その考え方にもつながっており、もともと新月や満月などの大自然のリズムの節目に対するリスペクトが考慮された伝統です。
不吉かどうかは別としても、占星学的にも大きな境目となる惑星の動きとその並びである「食」。
少なくとも単に見せ物のような「天体ショー」だけとは考えられないのではないかと思います。