Yoshikawa Mae from India 吉川めいのほぼ月イチ インド発見記
[09月]BABYは神さま
インドでは、新しい赤ちゃんを家庭に迎える際、日本やアメリカとは違う文化があります。

まず、子供が産まれる前から子供の服や物を買って準備をすることはしません。
なぜならお腹の中にいる子供は「神さま」として考えられているので、
神さまのために物質(この世のもの)を用意することはしないのです。
また、昔は子供が安全に産まれ、生存する確率も今と比べて低かったので、
万が一赤ちゃんが生存しなかった場合を考え事前に準備をすることを
控えていたともいわれます。日本でも地方によってはこのような考え方が
まだ残っていると聞いたことがあります。

またインドでは産まれる前から名前を決めたり、産まれてすぐに名前を付けることもしないのです。
日本では赤ちゃんにすぐ名前を付けてあげないと、呼び名に困るから
「かわいそうね〜」と言う人もいますが、インドではまったくこのような考え方がありません。
赤ちゃんが産まれてすぐの10〜12日間はお母さんと赤ちゃんを
世に公開するにはふさわしくない時だとされています。

通常、名前を考え始めるのはこの期間の後で、日本で姓名の字画数を見るように、
インドでは縁起の良い最初の一音やサンスクリット語の文字を見ます。
また、12日間が過ぎた後には、子供の生まれた日時と星の並びを使い、
ジョティーサと言うインド古来の占星学で子供の将来を見る文化も残っています。

まだ名前のない赤ちゃんは、決してかわいそうと思われることはなく、
みんなに「チークー、チークー」(=ベビー、ベビー)と呼ばれとてもかわいがられます。
日本でも子供は七つまでは神の内と言われますが、新生児は特に神さまのように、
名に限られることなく、自由に輝く存在として敬愛されるのです。

この為、インドでは出生届にも子供の名前を記入する欄はないそうです。
父の名と、母の名と、子の産まれた日時だけが記載されるそうです。
とにかく、名前を早く付けなければならないという文化もなければ
親に対するプレッシャーもないので、3〜6ヶ月間名前を付けないこともめずらしくありません。

名前を付ける時はNaam Karan(ナームカラン)と言うセレモニーが行われます。
これは家族と身近な親族だけが集まる特別な儀式です。
名前は新しい子供にこの世のアイデンティティを与える大切なもの。
インドでは名付けは神聖なことなのです。家族は子を囲み
ヒンドゥーの僧に儀式をしてもらい、最後に親が子の耳元に新しい名前をささやくそうです。

産まれたての子供を神聖として扱い、子をすぐに外に連れて行かないのと同じように、
子供の写真もすぐに公開しない、ということも聞いたことがあります。
産まれたての赤ちゃんは身体的にもエネルギー的にも柔らかく、とても開いています。
母や家族からの良いエネルギーを吸収し、悪いエネルギーからは
しっかりと守ってあげなければなりません。


5月のインド発見記「ナザール・ウタルナ」にも詳しく書いてありますが、
インドでは目線を通して意識や思いが伝わると考えられています。
よって、家族や身内以外の人に新生児の写真を公開してしまうと、
目線を通してどんな人のエネルギーにさらされるかわからないので、
この時期親は子を特に大切に、慎重に守ってあげるそうです。